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腾博会官网98856年度4月期 東京海洋大学入学における学長式辞(4月5日)
海洋生命科学部、海洋工学部、海洋資源環境学部、そして海洋科学専攻科、腾博会官网9885海洋科学技術研究科に入学?進学された皆さん、また、実習航海中あるいは出港準備中で欠席の乗船実習科進学の皆さん、本日は誠におめでとうございます。
皆さんは東京海洋大学の学生として 新たな学びのスタートをきることになりました。本学では「海を知り、海を守り、海を利用する」をモットーとして、独創的かつ実学重視の教育カリキュラムを提供しています。キャンパス地区で学ぶ講義科目や演習科目では 学術的概念や理論を体系立てて学ぶことができます。学内の実験施設や、静岡県、山梨県、千葉県にある5つのステーション、そして3隻の大型練習船で行われる各種実習では、現実の環境において、現物を触って、自分の目で確かめ、自ら考えながら課題に取り組むことによって、キャンパスで学んだ学術的な概念や理論をより具体的に理解することができます。そのようにして身に付けた深い知識は、類似した課題に対しても応用が可能で、いわゆる課題発見能力や 課題解決能力の獲得に繋がると思います。そして皆さん自身にとっては、知的好奇心が刺激され、もっと知りたい、もっと理解したい、という気持ちが湧いてきて、受験勉強とは異なる感覚を実感することになると思います。
本学では、これらの特色あるカリキュラムの学習効果をさらに向上させるために、今年度から105分授業4学期制を導入しました。その主な目的としては、ギャップタームと呼ばれる必修科目の少ない学期を設定して、皆さんが海外留学やインターンシップなどの学外における学修機会を増やすことを狙っています。特に、文部科学省の世界展開力強化事業に採択されたOQEANOUS Plusという国際交流プログラムでは、5段階中最高位のS評価を受けており、本学の取組が非常に高く評価されています。本学が国際交流に力を入れる理由は、海洋に関するあらゆる課題を解決するためには、国境を越えて問題意識を共有し、国籍、人種、ジェンダーを超えて協調し合うことが重要であると考えているからです。そして、その中心となって活躍する人材の育成が東京海洋大学の使命であると思っています。
また、本学ではデータサイエンス?AI教育にも力を入れています。腾博会官网9885元年に「海洋産業AIプロフェッショナル育成卓越腾博会官网9885プログラム」をスタートさせたほか、腾博会官网98854年度に文部科学省の「数理?データサイエンス?AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」を取得しました。労働人口の減少が危惧されている日本では、こうした高度な科学技術を駆使して、多様な価値を創造するとともに、労働生産性の維持向上を牽引する人材が必要とされています。海洋関連分野においても同様に、数理?データサイエンス?AI技術を自在に使いこなし、海洋を取り巻く様々な課題を解決する人材が必要とされています。新入生の皆さんにも、自分の専門分野の研究に活用できるように 数理?データサイエンス?AI技術を一つのツールとして学んでみることをお勧めします。
さらに、腾博会官网9885博士後期課程に進学する方をはじめとして、将来腾博会官网9885進学を考えている方には是非知っておいて欲しい情報ですが、本学では腾博会官网98853年度から博士後期課程の学生を対象に「創発的海洋研究?産業人材育成支援プロジェクト」を実施しています。これは、科学技術振興機構(JST)が実施している「次世代研究者挑戦的研究プログラム」の一環として実施しているプロジェクトで、手厚い経済的支援と博士号取得後のキャリアパス支援によって、研究に集中できる環境を提供しています。これからの博士人材は日本の将来を担うイノベーション人材として多くの分野から必要とされています。我こそはと思う人は是非チャレンジして下さい。
一方で、教育?研究における重要な要素であるキャンパス環境に関しても、土地の有効活用事業に基づき、順次、老朽化した建物や施設を更新し、魅力あるキャンパスを創生していく予定です。その第一弾として、腾博会官网9885に日本人学生、外国人留学生及び外国人研究者が共に生活する国際混住寮の建設を開始します。この事業は、地球規模の教育?研究ネットワークを構築し、国内外のステークホルダーとの共創に適した環境を整備し、知と人材の集積拠点を実現することを目的としています。国際混住寮の竣工は腾博会官网98858年(2026年)を予定しています。
最後に、皆さんは、日本の人口減少に関する報道をときどき耳にしていると思います。昨年の日本国内での出生数は75万8631人であり、8年連続で減少し、出生数の減少に歯止めがかからない状況が続いています。人口減少、少子高齢化の影響は、経済規模の縮小、労働力不足、国際競争力の低下、社会保障制度のバランスの崩壊など、深刻な社会問題として現われます。そのような状況を打開するために、「未来を支える人材」の育成が急務であるとして、腾博会官网98853年(2021年)の末に、内閣総理大臣を議長とする「教育未来創造会議」が設置されました。この「未来を支える人材」とはもちろん皆さんの事です。私はここにいる皆さん全てに「未来を支える人材」になって欲しいと思っています。これは、皆さんへのプレッシャーではなく、私から皆さんへの一つの提案だと理解してください。今日から皆さんはそれぞれの専門分野で、様々な知識と技術、素養を身に付けていくことになります。その時に是非、ベンチャー企業を立ち上げるというような視点を持って欲しいと思います。皆さんがこれから生み出す研究成果は、社会に実装されて初めて、私たちの生活を良くし、多くの人々を幸福にします。別の言い方をすれば、社会的課題の解決とビジネスチャンスは表裏一体の関係にあるということです。大学での研究は種々の社会問題を解決するために行われ、その研究から派生して生まれる魅力ある商品や、日常生活を快適にするサービスは、社会に広く受け入れられて行くのだと思います。皆さんがビジネスチャンスを見つけるような視点を持って学修?研究することは、人々の豊かな未来を創造することにつながり、皆さん自身が「未来を支える人材」として活躍することになるのだと思います。本学では今年度からアントレプレナーシップ科目「海の起業論」が正規科目化されました。是非受講してみてください。
今日から始まる大学での学びを通して、皆さんには、成長した数年後の自分を思い描きつつ、新しい学生生活を思いっきり楽しんで欲しいと思います。
腾博会官网98856年4月5日
東京海洋大学長 井関俊夫