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海からの声を伝える?々

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人の目では決して見ることができないレベルの大きさのものを
視覚的にとらえる

海洋資源環境学部 海洋環境科学科 岡井 公彦 准教授

人の目では決して見ることが
できないレベルの大きさのものを
視覚的にとらえる

海洋資源環境学部 海洋環境科学科 岡井 公彦 准教授

味噌やヨーグルト、納豆などの発酵食品は微生物の力を借りて作られます。微生物の中には、毒性のある化学物質を分解したり、有用物質を作り出したりする力を持つものもいます。この力の源は、微生物が生産するタンパク質(酵素)です。海洋環境科学科の岡井公彦先生は、微生物が生産する酵素に注目して、その酵素の働きを分子レベルで追いかけています。

岡井准教授

略歴

岡井 公彦(おかい まさひこ)
学術研究院 海洋環境科学部門 准教授

Q 所属する学科はどんな学科ですか?

海洋環境科学科です。大きく分けると海洋学と海洋生物学系の教員がいて、海洋学では海の成分、海流、気候などの分析を行っていて世界中の海や海底、沿岸域などを対象としています。海洋生物学は魚、鯨類、藻類、クラゲ、軟体動物、プランクトン、微生物など幅広い対象に対して目に見える行動から分子レベルまでのアプローチをしています。学生はたくさんの講義や実習を経験できますので、その中で興味ある分野が見つかるものと思っています。
Q どんな授業を担当していますか?

1年生で化学、2年生で化学実験、3年生で環境生命化学実験を担当しています。1年生化学では大学教養として習う有機化合物の分野を担当しており、命名法や反応の詳細な機構を中心に解説しています。2年生化学実験では「有機化合物の官能基の分析」を担当しており、授業で習った化合物の特徴を実際の実験を通して理解していきます。3年生の環境生命化学実験では「海洋酵母によるエタノール発酵」を担当しており、グルコースからエタノール発酵が行われる過程を微生物の性状と分析装置を使って調べていきます。
Q どんな研究をしているのですか。その研究のおもしろさは、どんなところですか?

環境浄化や産業利用に関わる微生物及びその中にある酵素がどのように働いているか調べています。石油の不完全燃焼などによって発生するPAHs(多環芳香族炭化水素)は毒性や残存性があり、ガンを引き起こすものもあります。PAHsを分解する微生物を自然界から探し、具体的にどのようなメカニズムで酵素が分解していくのか調べています。また、日本では海藻の養殖が盛んですが、非可食部位はそのまま廃棄されています。非可食部位には多糖が含まれており、多糖を分解する微生物を探し、その中に含まれる酵素を使ってオリゴ糖や単糖にまで分解させます。単糖はエタノール発酵に、オリゴ糖はカロリー値の低下?保湿美白効果?抗酸化作用?腸内環境の改善などに役立つといわれています。酵素の研究では結晶構造解析という手法を用いて分子レベル(10-10乗 m)での分解過程を見ています。人の目では決して見ることができないレベルの大きさのものを視覚的にとらえることができるのがこの研究手法の面白いところです。

Q 何がきっかけで、その研究をしようと思ったのですか?好きになった、夢中になったエピソード、現在の研究につながるエピソード等を教えてください。

学生実験の時に低分子化合物の構造をNMR(核磁気共鳴)データから行われているのをみて興味を持ちました。タンパク質でもNMRで構造決定できるのですが、タンパク質くらい大きくなるとNMRデータをとるよりは結晶を作って構造解析する方が多く、自分もその流れにのって行いました。結晶は研究室に入ってすぐ作製できた訳ではなく、数年かかりました。結晶は酵素を取得したらなるべく早くに結晶化キットで巻く必要があり、泊まってやることもありましたが、一緒に実験している仲間もいて結構楽しかったです。その間、手法ではなくどういったものを対象にしたいか考えていて、基本的な生命現象のタンパク質というよりは、産業利用が可能なタンパク質が社会に貢献できていることを実感できてよさそうだと思いました。
Q その研究はSDGs何番の目標と関わりがありますか?その研究は、社会でどのように役立ちますか。また、どのような職業や仕事に結びつくと思いますか。

9番と14番です。9番は「産業と技術革新の基盤を作ろう」で、海の産物から安価に物を作り出せれば人間の健康増進に役立ちます。この研究は水産?食品業界に結び付いていきます。14番は「海の豊かさを守ろう」で汚染浄化もしくは汚染防止をすることで生態系や人間の長期的な健康の維持に役立つと考えています。水処理施設では曝気槽などで微生物処理を行っていることから、この研究は水処理業界に結び付きます。
Q 研究者として、今後の目標は何ですか?研究を通じて、これから世の中にどのような「夢」を与えたいですか?現実的でなくても構いません。先生の夢を教えてください。

社会に貢献できる付加価値のあるものを一つでいいから送り出していきたいと考えています。例えば、海藻多糖を分解して得られるオリゴ糖は製品として売られていますが、とても高価なものなので気軽に摂取できるものではありません。それを安価に作れるような酵素を開発してサプリメントとして売り出せたりできればいいと考えています。
Q 2030年に向けて、これから入学してくる学生さんとどんな研究をしたいですか?

水産分野にはまだ未利用な物質や微生物が多数存在しています。また、時代が変わると新たな環境汚染物質や有効物質がでてきたりもします。現在の対象にとどまらず、その時代で必要とするものに対応できるようアンテナを張り巡らせ、社会に有益なものを還元できる研究を心がけていきたいです。それを分かち合えるように学生と歩んでいきたいと思っています。

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