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Interview with Tokyo University of Marine Science and Technology Researcher "Opening up the future from the ocean"

Q 現在の研究テーマを分かりやすく教えてください。

水圏環境中、特に海洋環境中に生息する鉱物をエネルギー源として利用する微生物や炭酸塩鉱物を形成する微生物の生理?生態や分布、そして機能を明らかにする研究をしています。具体的にはそれらの微生物の機能を、海洋環境中でのコンクリート構造物の耐久性の向上、道路舗装アスファルトの再生技術、鉱物資源の精錬、そして鉱山廃水処理技術といった、私たちの生活に役立たせることを目指して研究しています。
Current research theme
Q: What motivated you to start your research?

私はもともと鉄をエネルギー源とする微生物にとても興味を持っていました。湖や池、排水溝などで茶色い沈殿物を見ることがあると思います。それは微生物が作った金属酸化物なのですが、顕微鏡で覗いてみるとその微生物は鉄と酸素だけで生きていくことができるうえに、自分の体を作る材料として二酸化炭素を使っているのです。地球上に豊富にある鉄と二酸化炭素を使うことで金属酸化物をつくり、廃水処理に役立つ。金属を利用して生きている微生物って面白いなと思い研究を始めました。
Q: What is interesting and rewarding about your research?

微生物の面白さは、化学反応では何段階も必要な反応を、微生物が持つたったひとつの酵素によってできるところです。とはいっても顕微鏡でようやく見えるほどの小さな生物を対象にしているため、育てている微生物が急に元気がなくなったり、思ってもみないような挙動を示すことがあります。期待した成果が出なかったりする反面、新たな機能を有していることを発見したり、想像よりもすごい機能を発揮したり、いつも驚かされつつ研究を進めています。固形プレート上で増殖した微生物コロニーを見るたびに、このコロニーの一つひとつが我々の役に立つような機能を持った微生物たちであると思うと、とても感動します。
研究の面白さややりがい
Q その研究の未来を語ってください。
:短期的なもの(1~2年後程度)と長期的なもの(~10年後)

短期的なものとしては、現在、海洋環境にコンクリートでできた人工構造物を設置した際に、その場の環境や微生物にそれらがどのような影響を与え合うかを、実際の海洋環境中での浸漬実験を行うことで調査しています。その研究の中で、炭酸塩を形成する微生物が海洋環境でコンクリートのひび割れをどのように埋めるのかについての調査も行っています。これらの研究成果によって、微生物の機能を最大限引き出すような建築材料の配合や構造を明らかにすることにつながり、将来的に海水中で劣化しにくく環境と調和が取れるような人工構造物の開発に役立たせることができると考えています。
また、実際の鉱山廃水処理場にて、金属の沈殿除去に関わっている微生物の調査についても現在進行中です。廃水処理で鍵となる微生物を明らかにし、それらの微生物が活発に活動する条件を整えてあげることで、処理効率の向上が期待できます。もともと廃水中に生息していた微生物を利用し、その機能を最大限活用することができれば、薬品添加を減らし、環境負荷が少なく長期的に維持可能な処理システムが作れると考えています。
Q: Which SDGs can your research contribute to?

Goal 6: Clean Water and Sanitation
いままで化学薬品に頼っていた水処理を微生物でできるようにすれば、環境負担が少なくてすみ、コストもかかりません。水に含まれる金属の処理が問題になっている国にとっても研究が役立つと思います。

Goal 9: Build infrastructure, promote industry, and innovate
もともと自然環境の中で微生物が担っていた自浄作用の機能を少し活性化させることで、資源を無駄なく使えるようにしたり、環境にやさしい技術やコストがかからない生産方法を生み出せるのではないかと考えています。

「目標11:住み続けられるまちづくりを」
いま微生物と海洋環境中のコンクリートなど人工構造物の影響を調べています。その研究は微生物が周辺環境に悪影響を与えないような構造物の設計や材料の選定につながると思います。最近では微生物が作る炭酸塩をコンクリートのひび割れの埋め戻しに使っています。コンクリートの配合や形状を環境や生態系に適したものを選ぶことで、人が手を加えなくても勝手に修復されるような仕組みができるのではないかと思っています。インフラストラクチャーは50年以上経つと脆くなっていくのですが、自然の機能を模倣したり取り入れたりすることで、より長期的に安全で堅牢な構造物やインフラができると思っています。

"Goal 13: Take urgent climate action"
化学的な処理や薬品による処理を、微生物による機能、自然の持つ自浄作用を利用することで、CO2排出の削減や、土壌の回復、生態系の保全につながると考えています。

"Goal 14: Protect and sustainably use the oceans and seas"
現在行っている研究は、その場の微生物の持つ力(機能)理解し、その力をより引き出し我々の生活に利活用できれば良いなと考えて行っています。これらの研究によって生態系を深く理解し、我々の生活のあり方や環境の維持や向上につなげることができれば、山や森林、湿地、川、地下水を含んでいる地層、湖、汽水域、浅海や深海などの様々な水に関わる生態系を守り回復させる、生態系の維持につながるような技術を生み出せると考えています。
Q 東京海洋大学で研究する良さはどんなところですか。

海や生物、環境に深い興味を持った学生が本当に多く、部活やサークルを通じて早い段階から調査?研究を始めている学生もいます。そのため、研究への意欲が高い学生が多く、何事にも積極的で面白い研究成果を出してくれています。まだその分野の通念等で固まっていない、柔軟な考えを持つ学生たちと研究をすることで、新しいアイデアが生まれやすく、楽しく研究することができています。
また、教員も海洋に関わる様々な研究者が集まっているため、お互いの得意分野を持ち寄り協力しあって、新たな研究へ発展させることができています。
Q: What are your priorities and policies when conducting research?

論文や学会発表を通しての学術的な還元だけでなく、現在起こっている問題やこれから起こりうる問題にどのように対応し解決していくかを考え、将来的に人や社会に役立つ技術を生み出すことができたらいいなと思って研究をしています。また研究や講義実習を通して、幅広い視野と柔軟な心、問題解決に立ち向かえるような人材育成ができればと思っています。
Q 研究者を目指す人へのメッセージをお願いします。

好きなもの(研究対象物)を見つけてそれを(研究、調査し)何かあっても諦めずに続けてほしいです。そして周りの方達に自分の夢やアイデア、何がしたいのかなどを話してください。私自身はたくさんの方に助けられ、協力してもらい、良い出会いや機会をたくさんいただいて、現在の職を続けることができています。また、何か機会があったときには、物おじせずにぜひ飛び込んでみてください。知識や技術など足りないところは後からいくらでも補えます。機会や出会いはたった一度しかないかもしれませんから。

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