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講義?ワークショップ等の報告

第3回「高度専門キャリア形成論Ⅰ?Ⅱ」の講義報告です(H27年度)

2015.06.23

平成27年6月18日(木)、腾博会官网98852号館100A教室で、平成27年度第3回高度専門キャリア形成論が開催されました。

? 『若き博士人材が、国立研究機関?地方水産行政で活躍する』
  今泉 智人 氏 博士(工学) 水産総合研究センター水産工学研究所任期付研究員
  平川 直人 氏 博士(海洋科学) 福島県水産事務所相馬支場副主査

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初めに神田室長より開講の挨拶があり、続いて塩谷特任教授から本日の講師であるお二人の略歴が紹介されました。

最初に今泉氏が登壇され、大学時代からイルカの音について研究を続けており、それを産業に結び付けるべく現在も水中音響工学の分野で研究を行っていると話されました。

続いて、水産総合研究センターの水産工学研究所の組織について説明があり、現在携わっている様々な研究について説明がありましました。

IMG_0269 (144x144).jpg私はポリシーとして、『人生は1回きりなので、好きなことをやっていきたい』と考えている。大学に行くと決めた時には、博士を取ろうと考えていた。学部でイルカの鳴音を収集し、修士で人工的に出力し、博士で応用システムの開発をした。

水総研に入れたことを考えると、私の人生は運に恵まれていたと思う。水総研でPDを4年、準研究員を3年やった後、今年8月から正規職員として研究員になる予定だ。一般的には、非常勤のPDは5年で契約を打ち切られるが、水総研では3年が上限となっている。

音響を用いた水産資源量の可視化について、音色の違いを利用して魚種を判別する技術やその特徴等について説明がありましました。

IMG_0274 (144x144).jpg研究には失敗が多々ある反面、上手く行ったときは非常に達成感がある。これが研究を続けられる理由だと思っている。そして、間接的に人の役に立つように、技術の流布を目指して研究を続けている。博士とは研究者になるための第一歩であり、日本ではあくまでも資格であると謙虚な考え方も必要だと思っている。
 

「研究のベースにあるのは人と人との繋がりであり、一日一日を悔いなく生きて欲しい」と述べて、講演を締め括られました。

続いて、質疑応答に移りました。

Q:自分の研究が世の中に活かせると考えたのはいつか?
A:修士の頃にそう感じた。良い師に出会えたことが研究を進める契機となった。(今泉氏)
Q:研究者が既婚の場合に、日常生活や仕事に関して理解が得られるか?
A:理解のある伴侶に恵まれたと思っている。(今泉氏)

続いて、塩谷先生から福島県いわき市出身の平川氏の略歴が紹介されました。

平川氏が登壇し、水産関係の地方公務員の仕事について紹介した後、平川氏の仕事である水産業普及指導員の説明がありました。

IMG_0281 (144x144).jpg水産業普及指導員の仕事は、漁業者と一緒に水産の問題について考えたり、行政と水産の間を繋ぐ役割をしている。実際のところ、地方公務員では博士の専門性が活かせるとは限らないが、皆さんの今後の選択肢の一つとして考えて欲しい。福島県では今年は5人も募集しており、この傾向はしばらく続くだろう。また、年齢制限が35才なのでPDにも朗報だと思う。

学生時代の楽しかったメヒカリの研究について紹介がありました。

IMG_0294 (144x144).jpgD3になった頃から卒業後の進路を考えるようになったが、何をしたら良いか分からなかった。卒業する頃には、幸運にも幾つかPDの声が掛かった。結局、北海道水産研究所のPDとなり、タラとホッケの研究をすることになった。しかし、自分の努力が及ばない、不安定な雇用環境を目の当たりに見て不安が募り、地方公務員試験の受験を決意した。

福島県に合格してからは、水産試験場でアワビとウニの研究を始めた。その後、現在の水産業普及指導員の仕事をしているが、研究には携わっていない。一般的に、研究所に配属されても自分の好きな研究が出来るわけではない。また、3~5年で配置換えがあり、研究と行政を行き来することになるだろう。

東日本大震災の影響についても調査を行ったことが被害状況と共に紹介され、平川氏が関わっている漁業復興支援の活動について説明がありました。

震災から4年経った現在では試験操業も開始され、水産物の安全性を確認した上で全国にも出荷しており、試験操業対象種数も増加傾向にある。復興は着実に進んでいる。

最後に、「ぜひ来年は、皆さんも福島県の地方公務員試験を受けてください。そして、一緒に仕事をしましょう」と述べて、本日の講演が締め括られました。

続いて、質疑応答に移りました。

Q:北総研でのPDが最初に紹介された経緯は?
A:海洋大の先生の紹介だった。海鷹丸に乗っていたこともあって、学内の多くの先生方とは顔見知りだった。紹介を受けたのは運だったと思う。(平川氏)

最後に、塩谷先生から両講師に質問がありました。

IMG_0279 (144x144).jpgQ:自分にとって良いキャリアをどう引き寄せたのか?
A:メーカーと共同研究したのが良かった。博士とは、知っている分野をアピールするだけでなく、弱い分野についても専門家として取り組む姿勢が大事だと考えている。(今泉氏)
Q:1年で北総研を辞めた経緯は?
A:この業界は不安定で運に頼る部分が多い。自分の頑張りが及ばない研究職には不安があった。それよりは、安定した地方公務員の道を選んだ。(平川氏)

以上

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