講義?ワークショップ等の報告
第9回「高度専門キャリア形成論Ⅰ?Ⅱ」の講義報告です(H26年度)
2014.12.25
平成26年12月18日(木)、腾博会官网9885?白鷹館で、平成26年度第9回高度専門キャリア形成論が開催されました。
? キャリアデザイン講座第4弾
『就活成功への心得と実践』
塩谷?和美 特任教授(東京海洋大学キャリア開発室)
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冒頭に、「経団連を中心に、就活の3か月後ろ倒しが進められているが、実際には昨年と同じスケジュールで進んでいると認識した方が良い」と述べて、本日の講義が始まりました。
高い報酬を期待する時代は終わった。これからは、自分がどう成長できるかをトータル?リワードとして考える必要がある。そのためには『モチベーションを実現できる企業をどう探すか』、そして『自分を企業にどう売り込むか』という2つのテーマがある。
初めに、決して真似をしてほしくない例と前置きして、塩谷先生自身のキャリアについて紹介がありました。
就活当初は漁業に関する調査?研究をやりたいと思っていたが、一番やりたくなかった営業に配属されてしまった。5年間我慢して営業職を続けたが、業界自体が縮小したこともあり、セブン‐イレブンへの転職を決意した。営業部署で20年間働いた経験や、営業統括として大きなビジネスを任されたこと等で、今の私があると思っている。その後、アパレル業界等を経て、10年前にキャリアデザインや管理職研修の講師となった。
就活は計画的に進めて、正社員を目指してほしいと強調されました。
就活は人生で最も重要な節目の一つであり、最初の一歩で躓かない事が大事だ。自己理解が十分でないと躓くことになり、焦って短時間で安易に決めようとすると、入社してから思っていた仕事ではなかったということになる。なかなか就職先が決まらないからといって、安易に非正規雇用社員になってはいけない。なかなか重要な仕事に就かせてもらえず、仕事を通じて自分を成長させる機会も得られない。
次に、就活期間の流れについて説明がありました。
実態は去年と変わっていないことから、ゆっくりしている時間は無いので、短期集中型で就活に臨んでほしい。
「どんな会社に行くかは、自己理解と自己分析から始まる」と述べて、『自己分析シート』の紹介がありました。自己分析と共に、客観的な他者評価も大切であり、それを書いてみる事が大事だと強調されていました。
ここで、『自己分析シート』の一部を記入する練習として、『海洋大で何を学び、何を得たか』を1分間で考えて話し合う演習が行われました。
自己分析シートへの記入は、自己棚卸をする良い機会となるだろう。自分のことについては必ず語れるように準備しておくことが必要だ。面接では、海洋大の強みを前面に出し、他者との差別化として『自分ならではのもの』をしっかりと持つことが大事だ。
経済や雇用の環境は良くなっており、有効求人倍率も年々高くなっている。東京オリンピックを控えた今が、就活のチャンスかもしれない。『就職四季報』や『業界地図』等を活用してOB?OGを訪問する等して、積極的に情報を取りに行く姿勢が大事だ。焦って活動すると、希望とは全く逆の選択をしてしまうこともあるので、十分に準備をして臨んでほしい。
次に、良い企業をどう探すかについて解説がありました。
良い会社とは、働き甲斐のある会社であり、従業員と経営陣との間に信頼関係があることに尽きる。興味のない商品やサービスには誇りを持てず、会社にもプライドを持てないので長続きしない。新入社員を歓迎し、経営者から直接の語り掛けがあり、個人のライフイベントに配慮して、成長する機会を与えてくれる会社が良い。また、中堅企業という選択肢もあり、一人で色々なことを任せてもらえる利点がある。
様々な業界、業種および業態があるが、会社は売上と経常利益で判断すると良い。また、中堅企業はトップの人柄で判断すると良く、誰にでもできる仕事や人手に頼る企業は離職率が高い。水産だから水産関連会社が良い訳でもないので、良く吟味して準備してほしい。
続いて、エントリーから面接までについて説明がありました。
履歴書は丁寧に書き、分かり易さと自分らしさを出すことが大事である。企業は、人間性と、その会社に相応しい人かどうかを判断している。自分に合う業種を選ぶこと、そして面接は素で臨むこと。海洋大らしさを出し、将来伸びる雰囲気を持っているかが大切である。また、社会人基礎力をもう一度見直して、自分の力量が現在どのレベルかを確認してほしい。
最後に、クルンボルツの『計画された偶然性理論』の紹介がありました。
自分にとって都合の良い偶然を引き寄せる努力が必要であり、チャンスは自分から掴み取るものだと強調されました。また、そのためには人脈によるネットワークの活用が最も効果的であり、必要な情報が得られれば新しい発見も見付かると述べられました。
そして、「私の経験を何かに役立ててほしい。また、キャリア相談へも気楽に来てください」と述べて、本日の講義が締め括られました。
以上