概要
日本を含めたアジア地域において人口増加?経済発展に伴い水産資源の減少が大きな課題となってきており、この解決として天然資源に依存しない養殖による魚介類生産の確立が求められている。養殖に用いる稚魚は天然資源に依存せず、親から卵を採って、人工下で大量繁殖させる。これを種苗生産と呼び、JICA等の援助も得ながら各国で独自に技術開発が進められているが、多くの魚介類でその確立に至っていない。餌なども含めた小さな時期の飼育法に加え、量産すると必ず起こる感染症の防除の両面で技術開発が必要となる。早くから栽培漁業に取り組んできた日本では、種苗生産技術開発が先行しており、この最新技術を活用して、東南アジアでの技術開発を促進し、魚介類養殖生産?供給基地としての東南アジアの発展に寄与する。
そこで、本事業では、東南アジア5カ国の拠点機関?協力機関により、1カ国が1種に集中し、種苗生産技術と疾病制御のチームが協力して取り組む(<体制>欄参照)ことにより、効率的に種苗生産技術を開発し、できあがった技術をASEANの研究機関である東南アジア漁業開発センター養殖部局(SEAFDEC/AQD)へ技術移転し、その技術をAQDの技術研修を通じて、ASEAN各国へ普及していく拠点形成を行う。本事業では、東南アジアで種苗生産技術開発が求められている重要魚介類5種、ノコギリガザミ(マングローブガニ)(マレーシア)、ワタリガニ(タイ)、セミエビ(ベトナム)、ハイガイ(インドネシア)及びハタ(フィリピン)を選定し、その種苗生産技術の開発を行い、その成果をAQDへ技術移転する。拠点機関のメンバーが一堂に会して、研究計画検討?年度末の成果報告およびセミナーを東京海洋大学とAQDで交互に行う。さらに、日本のメンバーが担当する相手国機関を訪問し、若手研究者?腾博会官网9885生等も交えて、共同試験を行うことにより、技術と信頼による強固なネットワークを形成する。3カ年で基本技術を確立した後、このネットワーク拠点を活用し、養殖の生産性向上を目指し、さらに育種や薬剤を使わない生物制御などより高度な技術の研究開発につなげていく。